- 東京都教育委員会が4月23日、児童・生徒のインターネット利用状況調査(令和7年度)を公表
- 家庭学習で生成AIを使った経験がある児童・生徒は全体で38.0%。前年度の16.9%から1年で2倍超に
- 学校種別では小学校28.1%・中学校51.7%・高等学校61.3%。中高生では半数を超える
- 同時にネット上で知らない人と「いいね」やDMをやりとりする割合も上昇傾向
- 都教委は生成AIリテラシー教材の配布を開始。家庭でも使い方のルール作りが急務
東京都教育委員会の最新調査で判明、家庭の生成AI利用が急増
東京都教育委員会は4月23日、令和7年度「児童・生徒のインターネット利用状況調査」の結果を公表しました。都内公立校の児童・生徒約12,000人を対象とした調査で、家庭学習における生成AIの利用が1年間で急速に広がっている実態が明らかになっています。
家でインターネットを使って学習する際に生成AIを「使ったことがある」と答えた児童・生徒は全体で38.0%。前年度の16.9%から2倍以上に増えました。前々年度(令和5年度)の14.7%と比べると、わずか2年で2.5倍超に達しています。
家でインターネットを使って学習をする時に、生成AIを「使ったことがある」と回答した児童・生徒の割合は、令和7年度に38.0%となり、前年度から2倍以上に増加した。
引用:東京都教育委員会 報道発表(2026年4月23日)

高野智弘
学校種別の利用率、中学生で半数超え・高校生は6割突破
学校種別に見ると、年齢が上がるほど利用率が高まる傾向がはっきりしています。中学校では51.7%、高等学校では61.3%と、過半数の生徒が家庭で生成AIに触れた経験を持つ計算です。
| 学校種 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 2年間の伸び |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 11.7% | 13.7% | 28.1% | 約2.4倍 |
| 中学校 | 19.6% | 21.5% | 51.7% | 約2.6倍 |
| 高等学校 | 21.7% | 29.7% | 61.3% | 約2.8倍 |
| 特別支援学校 | 13.3% | 8.7% | 23.5% | 約1.8倍 |
| 全体 | 14.7% | 16.9% | 38.0% | 約2.6倍 |
出典:東京都教育委員会「児童・生徒のインターネット利用状況調査(令和7年度)」
小学生でも約3人に1人が利用経験ありという数字は、保護者の感覚より進んでいる可能性があります。読書感想文の下書き、自由研究のテーマ探し、宿題のわからない問題の質問など、用途は多様化しています。
生成AIが家庭学習に広がった3つの背景
これほど短期間で生成AIが普及した背景には、複数の要因が重なっています。
1台端末の定着で「家でも当たり前にネット学習」
GIGAスクール構想で配布された1人1台端末は、すでに自宅持ち帰りが標準運用になっている自治体も多くあります。子どもが自分専用の端末を持っているため、親が見ていない時間にWebサービスへアクセスするハードルは大きく下がりました。
無料で使える生成AIサービスの登場
主要な生成AIサービスの多くは無料プランを公開しており、登録だけで誰でも使えます。スマートフォンからもアプリで利用でき、保護者のクレジットカードを使う必要がない点も普及の追い風となっています。
友だち経由の口コミでスピード拡散
学校の休み時間や習い事の場で「AIに聞いたら宿題が解けた」という体験談が広まると、子ども同士で一気に使い方が共有されます。テレビで取り上げられる機会も増え、保護者世代が知る前に子どもが使い始める家庭も少なくありません。
同時に増える「知らない人とのネット交流」、高校生は3人に1人がDM経験
今回の調査ではもう1つ、保護者として見過ごせない数字が示されました。インターネットで知らない人と何らかのやりとりをした経験がある児童・生徒の割合です。
| 学校種 | 「いいね」を押した | コメントを書いた | DMをやりとりした | 直接会った |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 28.2% | 13.3% | 4.0% | 1.0% |
| 中学校 | 58.4% | 31.4% | 23.2% | 3.1% |
| 高等学校 | 68.0% | 37.6% | 37.5% | 13.9% |
出典:東京都教育委員会「児童・生徒のインターネット利用状況調査(令和7年度)」(複数回答)
特に注目したいのは、高校生の13.9%が「ネットで知り合った人と直接会ったことがある」と回答している点です。きっかけはゲーム(44.2%)、アニメや漫画(29.1%)、芸能人やユーチューバーの話(27.7%)など身近な話題が中心で、子ども本人にも危機意識が薄いまま接点が生まれているケースがあると考えられます。

高野智弘
家庭でできる、生成AIとの上手な付き合い方3つ
子どもが生成AIに触れる前提で、保護者としてどう関わればよいか。今日から実践できる3つのポイントをまとめます。
1. 「使ったらおうちの人に見せる」をルール化する
生成AIへの質問内容と回答は、隠さずに保護者へ共有するルールから始めると安心です。間違った答えが返ってきたときに一緒に確認できますし、誤った情報をうのみにして宿題に書き写すといった事故を防げます。
2. 個人情報・写真は絶対に入力しない約束
生成AIサービスは入力内容を学習データに利用する場合があります。本名・住所・学校名・友だちの情報・顔写真は入力しない、というシンプルなルールを子どもと共有してください。「秘密の話はAIにも言わない」と伝えると、低学年でも理解しやすくなります。
3. 答えを「写す道具」ではなく「考えを深める道具」に
生成AIは答えを出すのが得意ですが、それを丸写しすると学力は伸びません。「自分で考えてから、AIの答えと比べてみる」「AIの答えに対してさらに質問する」という使い方を促すと、思考力を育てる味方になります。
都教委は生成AIリテラシー教材を提供開始
今回の調査結果を受けて、東京都教育委員会は生成AIリテラシー教材を都内公立校に配布しています。児童・生徒向けの教材と教員向けの指導手引きの両方が用意され、特性や留意点を学ぶ授業に活用される予定です。
あわせて「GIGAワークブックとうきょう」というSNS利用や情報モラルを扱う補助教材も継続的に提供されており、家庭での話し合いの材料にもなります。教材は東京都の情報教育ポータルから確認できます。

高野智弘
まとめ:子どもより先に、保護者がAIに触れておく
結論から言うと、家庭で生成AIをどう扱うかは「禁止か放任か」の二択ではありません。子どもが学校外で触れる機会はすでに広がっており、ルールを決めて一緒に使うのが現実的な選択になっています。
最初の一歩として、保護者自身が無料の生成AIサービスに1度触れてみるのがおすすめです。実際に使うと、何が得意で何が苦手か、どこで間違えやすいかが感覚としてつかめます。子どもとAIの話題で会話できる土台ができれば、ルール作りもスムーズに進みます。
教育Timesでは、こうした最新の教育トピックを毎日お届けしています。お子さんの学びをアップデートするヒントを、引き続きお届けしていきます。