学校・制度

こども性暴力防止法、2026年12月施行で保護者がやるべき準備3つ

このニュースを1分で解説
  • 2026年12月25日から「こども性暴力防止法」が施行(通称:日本版DBS)
  • 対象は学校・認可保育所・認定こども園などの義務対象事業者
  • 学習塾・スポーツクラブなどは「認定」を受けた場合のみ対象(任意)
  • こども家庭庁が4月21日〜23日に研修教材・Q&A・チェックリストを相次いで公表
  • 保護者は今のうちにお子さんが通う事業者の対応状況を確認するのが安心

「お子さんが毎日通っている学校や塾で、どんな大人と関わっているか把握できていますか?」

2026年12月25日、子どもへの性暴力を防ぐ新しい法律「こども性暴力防止法」が施行されます。学校はもちろん、希望すれば学習塾や習い事も対象に含まれる、家庭にとって無関係ではいられない制度です。

施行まで約8か月。こども家庭庁は2026年4月21日から相次いで研修教材やQ&Aを公表しており、事業者の準備が本格化しています。保護者として何を知っておくべきか、整理しました。

こども性暴力防止法とは|2026年12月25日施行の概要

正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(令和6年法律第69号)。子どもに関わる仕事をする人が、過去に性犯罪歴を持っていないか確認できる仕組みを軸とした制度です。

「日本版DBS」と呼ばれる理由

イギリスの犯罪歴開示制度(DBS制度)を参考に設計されているため、「日本版DBS」とも呼ばれます。

英国のDBSは1970年代から段階的に整備され、現在は子どもや高齢者に関わる職業の採用時に犯罪歴の照会が義務付けられています。日本版もこの考え方を取り入れ、採用時の性犯罪歴確認を中心に、研修・相談体制までセットで義務化するのが特徴です。

学校設置者等は、児童対象性暴力等を防止するため、その学校等の教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
引用:こども家庭庁「こども性暴力防止法」

4月以降に公開された資料のスケジュール

施行に向けて、こども家庭庁が保護者・事業者向けの情報公開を進めています。直近1週間の動きは次のとおりです。

事業者がそのまま使える教材が揃いつつあるため、4月以降は学校現場や塾でも本格的な準備が始まると見込まれます。

高野智弘
高野智弘
ニュース記事だけ読むと「採用時の犯罪歴チェック」だけが取り上げられがちですが、この法律の本質は事業者の体制づくり全般です。研修も相談窓口も含まれているので、お子さんを預ける側にとっては「ちゃんと運用してくれる事業者かどうか」を見極める基準になります。

対象になる事業者|お子さんが通う場所はどっち?

法律の対象事業者は、義務的に対応する「義務対象」と、任意で認定を受ける「認定対象」の2種類に分かれます。

義務対象(必ず対応する事業者)

学校教育法上の学校(幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援学校・大学)、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設などが該当します。お子さんが公立・私立の学校や認可保育所に通っているご家庭は、自動的に対象となる仕組みです。

認定対象(事業者が希望すれば対象になる)

認可外保育所、放課後児童クラブ(学童保育)、学習塾、スポーツクラブ、音楽教室など、習い事系の事業者は任意の認定制度です。事業者がこども家庭庁の認定を受けると、対象として法律の枠組みに入ります。

つまり「習い事は対応していない事業者もある」状態が当面続くため、保護者が選ぶ視点を持つことが重要です。

義務対象と認定対象の違い

区分主な事業者対応
義務対象学校(幼稚園〜大学)/認可保育所/認定こども園/児童福祉施設すべて義務
認定対象認可外保育所/学童保育/学習塾/スポーツクラブ/音楽教室など事業者の任意
出典:こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」をもとに編集

事業者に課される4つの義務|採用・研修・相談・記録

対象事業者には、子どもの安全を守るための具体的な措置が義務付けられます。主な内容は次の4つです。

採用時の性犯罪歴の確認

教員や指導員を雇用する際、対象者の過去の特定性犯罪歴をこども家庭庁経由で確認します。確認が完了するまでは、原則として子どもと1対1になる業務には就かせない措置が必要です。

従事者向け研修と対処規程

性暴力の防止に関する研修を全従事者に実施します。あわせて、児童への対応方法や被害発生時の対処手順をまとめた対処規程を策定します。こども家庭庁は4月21日に研修教材・解説動画を公表しており、事業者がそのまま活用できる体制が整いつつあります。

相談体制と早期把握

子どもや保護者が安心して相談できる窓口を設置します。被害を疑うサインに早く気づくための仕組みも求められ、「相談しやすい関係性づくり」が事業者の責務に加わります。

児童・保護者への周知と記録管理

子どもや保護者向けに「困ったときに相談できる場所」を周知します。インシデントが発生した場合の対応記録は適切に保管され、組織として再発防止に活かす仕組みです。

高野智弘
高野智弘
学校や園は12月25日から全て対応必須なので、保護者が気にする部分はそれほど多くありません。問題は習い事です。学習塾やスポーツクラブは「認定を受けるかどうか」が事業者の選択になるため、家庭側が「うちのお子さんが通う場所、認定はどうですか?」と聞ける状態を作っておくと安心です。

保護者が今すぐ動くべき3つの準備

施行は12月。家庭で今のうちにやっておくと安心な準備を3つにまとめました。

お子さんが通う事業者の対応状況をチェック

学校や認可保育所は義務対象なので、12月以降は自動的に対応されます。ただし移行期は学校ごとに準備状況が異なる可能性があるため、PTA・保護者会・連絡帳などで「研修や相談窓口の整備が進んでいるか」を確認しておくと状況がわかります。

学習塾・習い事の認定マークを確認

認定を受けた事業者は「認定事業者マーク」を掲示できる仕組みです。義務対象事業者には「法定事業者マーク」が用意され、両者は外見で区別できます。

塾や習い事を新たに選ぶときは、認定マークの有無、または認定取得予定があるかを問い合わせるのが安心です。すでに通っている場合は、保護者会や連絡時に確認してみてください。

家族で「困ったときの相談先」を共有

法律施行後、各事業者は子どもが相談できる窓口を整備します。家庭でも「もし嫌なことがあったら、誰に・どこに話せばいいか」を事前に共有しておくと、お子さんが声を上げやすくなります。

学校や塾の窓口に加えて、こども家庭庁・地方自治体の相談先を家族で確認しておくと安心です。

高野智弘
高野智弘
お子さんが「嫌だった」と言える環境づくりは、法律ができても自動では生まれません。家庭で「何があっても味方だよ」と日頃から伝えておくこと、これが最も効くと考えています。制度は背中を押してくれますが、入口は家庭です。

お子さんの安全を守る、第一歩は「知ること」から

こども性暴力防止法は2026年12月25日に施行されます。学校・認可保育所は義務対象として一斉に対応しますが、習い事は事業者の任意。保護者が選ぶ視点を持つことが、お子さんの安全につながります。

まずは、お子さんが通う場所が「義務対象なのか、認定を取る予定なのか」だけでも確認してみてください。施行まで残り約8か月、こども家庭庁の公式情報も随時更新されています。

家庭でのコミュニケーションを大切にしながら、社会の仕組みも上手に活用していきましょう。