子育て

こども誰でも通園制度の対象と料金|月10時間が3時間になる例外

この記事の要点を1分で
  • こども誰でも通園制度は2026年4月から全国すべての市町村で本格実施。「事業」から「給付」に変わりました
  • 対象は保育所などに通っていない生後6か月から満3歳未満のお子さん。親の就労は問われません
  • 上限は月10時間。ただし2026・2027年度は経過措置で月3時間から10時間未満に設定できる市町村があります
  • 利用料は1時間300円程度が国の示す標準。実際の額を決めるのは自治体ではなく事業所です
  • 申し込みは「つうえんポータル」から。事前面談を済ませてから利用予約という順番になります

「働いていないと保育園には預けられない」。そう思って、家庭でずっとお子さんを見てきたお母さんは少なくありません。その前提を変えるこども誰でも通園制度が、2026年4月に全国すべての市町村で始まりました。生後6か月から満3歳未満なら、就労を問わず月10時間まで時間単位で預けられます。ただし住んでいる市町村によっては、上限が月3時間ということもあります。対象・料金・申し込みの手順に加え、始まって数か月で見えてきた課題まで、一次情報をもとに整理しました。

【2026年8月 更新情報】
  • 2026年7月27日付で、こども家庭庁が「乳児等のための支援給付交付金交付要綱」を各都道府県に通知しました(2026年4月1日から適用)。全国実施を支える財政面の枠組みが固まっています
  • 保育士以外の人がこの制度に従事するための子育て支援員研修の新コースは、2026年夏以降に初めて開講します。それまでは経過措置の対象者が現場を支えます

こども誰でも通園制度が2026年4月に全国で本格実施

こども誰でも通園制度は、法律上は「乳児等通園支援事業」といいます。「こども未来戦略」を出発点に、2024年6月成立の子ども・子育て支援法等の改正法で創設されました。

これまでの保育所は「保育の必要性」、つまり保護者が働いている・病気であるといった事情が利用の前提でした。家庭で子育てをしていて「少しだけ預けたい」と思っても、受け皿はほとんどありません。こども家庭庁は制度の位置づけをこう説明しています。

全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付です。
引用:こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」

背景にあるのは、0歳から2歳の未就園児の多さです。こども家庭庁の推計では、2024年度時点で0歳から2歳の約53.5%、およそ125万人が保育所にも幼稚園にも通っていません。国はこの層への支援の薄さを問題視しています。

「事業」から「給付」へ|2026年度に変わった2つのこと

2025年度も一部の自治体では実施されていました。では2026年度の本格実施で何が変わったのか。こども家庭庁の手引は2点を挙げています。

制度の本格実施により、①給付制度となることで一定の権利性が生じること、②全国どの自治体でも共通で実施することとなります。
引用:こども家庭庁「こども誰でも通園制度の実施に関する手引」(令和8年3月改訂版)

2025年度までは、やるかどうかは市町村の判断でした。2026年度からは全市町村が実施主体になり、住む場所によって制度そのものがない状況はなくなります。財源には2026年4月から徴収が始まった子ども・子育て支援金が充てられます。家計の負担が気になる場合は、子育て支援金は年収別でいくらになるのかもあわせて確認してみてください。

試行から本格実施まで|3年で単価は2倍に

2024年度の試行から本格実施まで、規模も単価も大きく変わりました。事業所に支払われる公定価格(国が定める単価)の推移を並べます。

年度制度上の位置づけ実施自治体こども1人1時間あたりの単価
2024年度試行的事業118自治体一律850円
2025年度地域子ども・子育て支援事業252自治体(予定数)0歳1,300円/1歳1,100円/2歳900円
2026年度乳児等のための支援給付全市町村0歳1,700円/1・2歳1,400円
出典:こども家庭庁「こども誰でも通園制度 基礎資料集」(2026年4月改定)をもとに教育Times作成

0歳児の単価は850円から1,700円へ、ちょうど2倍になりました。2026年度の予算額も349億円で、前年度の126億円から約2.8倍です。試行段階で「この単価では保育士を配置できない」という現場の声が相次いだことを受けた引き上げです。

高野智弘
高野智弘
「給付になった」のは、地味ですが大きな変化です。これまでの一時預かりは自治体の任意事業で、隣町では使えるのにわが町にはない、が普通に起きていました。2026年度からは全市町村が実施主体です。窓口で「うちはやっていません」と言われることは、原則なくなったと考えて大丈夫です。

対象年齢と利用時間|月10時間が月3時間になる経過措置

まず正確に押さえたいのが対象と時間です。自治体差が出るところなので、報道の見出しだけで判断すると当てが外れます。

対象は保育所などに通っていない生後6か月から満3歳未満

利用できるのは生後6か月から満3歳未満のお子さんです。親の就労状況は問われません。専業主婦(主夫)の家庭でも、育児休業中の家庭でも使えます。保育所の入園選考のように、点数で優先順位が決まることもありません。

条件がひとつあります。保育所・認定こども園・地域型保育事業所・企業主導型保育施設に在籍していないこと。すでに保育所に通っているお子さんは対象外です。ただし認可外保育施設に通っている場合は対象になります。企業主導型は対象外で、認可外は対象。この線引きは間違えやすいので注意してください。

年齢の上限も細かい決まりがあります。こども家庭庁のQ&Aによれば、利用できるのは3歳の誕生日の前々日までです。誕生日当日までではありません。

月10時間の上限には2026・2027年度の例外がある

利用時間は国の給付の上限として月10時間と決まっています。この枠内で、1時間単位など柔軟に予約できます。「週1回、2時間ずつ」といった使い方が想定されています。

ここからが、多くの記事が触れていない部分です。手引には次の一文があります。

なお、令和8・9年度については、経過措置として、月10時間での実施が難しい市町村は、条例で利用可能時間を3時間~10時間未満の範囲内で設定することができます。
引用:こども家庭庁「こども誰でも通園制度の実施に関する手引」(令和8年3月改訂版)

つまり2026年度と2027年度に限り、保育士の確保が難しい市町村は、条例で上限を月3時間まで下げられます。東京新聞は2026年3月25日付の記事で、約35自治体がこの経過措置を使って月3時間から10時間未満で運用する見込みだと報じました。全国1,700余りの市町村のうちでは少数ですが、ゼロではありません。

逆に、独自に上乗せする自治体もある

反対に、国の10時間を超えて受け入れる自治体もあります。こども家庭庁のQ&Aでも「自治体の負担の下で独自の上乗せを設けることを妨げるものではありません」と明記されています。超過分は国の給付の対象外になるため、自治体が持ち出す形です。東京都は独自の補助を用意しており、これを使って月10時間以上を受け入れる区市町村があります。

上限時間は「国が10時間と決めたから全国どこでも10時間」ではなく、実際はお住まいの市町村の条例と予算次第です。

高野智弘
高野智弘
調べるときは、市町村のサイトで「乳児等通園支援事業」という正式名称でも検索してみてください。「こども誰でも通園制度」だけだと国のページばかり出てきて、肝心の地元の上限時間や事業所一覧にたどり着けないことがあります。

料金は1時間300円が目安|決めるのは自治体ではなく事業所

費用は多くの保護者が最初に気にする点です。「300円」という数字だけが独り歩きしているので、仕組みから整理します。

利用料の額を決めるのは事業所

国は利用料について1時間あたり300円程度を標準と示しています。月10時間まで使った場合で3,000円程度です。

ただし、これは「標準」であって全国一律の料金ではありません。こども家庭庁のQ&Aでは、利用料は運営基準に基づき事業所が保護者の同意を得て徴収するものであり、その額は事業所が定めることになる、と説明されています。同じ市内でもA園とB園で金額が違うことは起こり得ます。なお公立の事業所では、市町村が公の施設の使用料として条例で定めるケースもあります。

生活保護世帯・住民税所得割77,101円未満の世帯は負担軽減

2026年度からは、事業所が利用料を減額した場合に給付費が上乗せされる「生活困窮家庭等負担軽減加算」が新設されました。値引きしても事業所が損をしない設計です。

対象となる家庭加算の上限(1時間あたり)実質的な負担イメージ
生活保護世帯300円標準額の全額に相当
市町村民税所得割合算額が77,101円未満の世帯200円標準額の3分の2に相当
要支援家庭と市町村が認めた家庭200円標準額の3分の2に相当
出典:こども家庭庁「こども誰でも通園制度 基礎資料集」(2026年4月改定)をもとに教育Times作成

生活保護世帯なら、標準額の300円がまるごと軽減の対象になり得ます。ただし減額するかどうかの判断も事業所が行うため、自動的に無料になるわけではありません。該当しそうなら、申し込みの段階で市町村の窓口に確認してください。

昼食代・おやつ代は実費で別途かかる

利用料のほかに実費がかかります。こども家庭庁は昼食・おやつ代について、保護者の同意のうえで別途徴収して問題ないとしています。給食代・食材費のほか、通園バス代や文房具代なども想定されています。

お昼をまたぐ時間帯に預けるなら、利用料300円+給食費という計算です。事前面談のときに実費の内訳を一覧でもらっておくと安心です。

申し込みから利用までの4ステップと、現場に残る課題

次は手続きです。2025年度から国の「つうえんポータル」が動いており、2026年度は多くの自治体がこれを使っています。

つうえんポータルで申請し、事前面談を経て予約

こども家庭庁の利用者向けリーフレットでは、利用までの流れが4段階で示されています。

ステップやることポイント
1. 利用申請つうえんポータルでお住まいの自治体を選び、利用申請する市町村から認定を受ける手続き
2. 事前面談の予約ポータルから施設との事前面談を予約するいきなり預ける流れではない
3. 利用予約事前面談のあとに、施設の利用日時を予約する残りの利用可能時間が画面で見える
4. 当日登降園時に施設職員が提示する2次元コードを読み取る利用時間が自動で記録される
出典:こども家庭庁「こども誰でも通園制度 利用者向けリーフレット」(2026年3月)をもとに教育Times作成

見落としやすいのが2つ目の事前面談です。制度の説明とお子さんの特徴の確認を兼ねており、30分以上を目安に実施されます。前回の利用から半年以上あいた場合も、あらためて面談を行う扱いです。「明日の午前中だけ預けたい」という急な使い方には向きません。複数の施設を使う場合は施設ごとに利用契約を結ぶため、A園とB園を併用したいなら面談も契約も2回分になります。

利用した保護者の8割以上が変化を実感

効果はどうなのか。こども家庭庁が試行的事業の利用者1,011人に行った調査では、利用前と比べた変化について次の結果が出ています。

利用した保護者の変化 子育てを楽しいと感じるようになった 87.1% 育児に負担を感じることが減った 84.0% 子育ての中で孤独を感じることが減った 76.6% 育児の悩みを相談できる人ができた 68.9% 出典:こども家庭庁 調査研究(保護者1,011人)

「そう思う」「ややそう思う」を合わせた割合です。子育てを楽しいと感じるようになった人が87.1%、育児の負担が減ったと答えた人が84.0%。一方で「育児の悩みを相談できる人ができた」は68.9%と、やや低めでした。相談相手が増えるかどうかは、施設や担当者との相性にも左右されます。

預かってもらう時間ができたら、家庭での遊びや学びを整え直すのにも使えます。年齢に合った教材の選び方はこども教材プラスでも紹介しています。

予約が取りにくい地域がある理由

課題も見ておきます。試行的事業を実施した自治体へのアンケート(98自治体回答)では、81.6%が「保育者(保育士以外も含む)の確保」を課題に挙げました。次いで「一時預かり事業との関係性」が70.4%です。

保育者を確保できなければ受け入れ枠は増えず、枠が少なければ予約は埋まります。単価が2倍になったとはいえ、人が集まるには時間がかかります。保育士以外の人が従事するための新しい研修コースも、2026年夏以降にようやく開講する段階です。制度は全国で始まりましたが、受け皿が追いつくのはこれからです。

高野智弘
高野智弘
予約が取れないときは、事業所の類型を変えて探すのが現実的です。認可保育所だけでなく、地域子育て支援拠点や幼稚園、小規模保育事業所も実施主体になれます。ポータルの検索で施設種別をしぼらずに見ると、思わぬ近所の施設が出てくることがあります。

満3歳を過ぎたあとは幼稚園や保育所が主な選択肢です。就学後の学童保育の料金は月いくらかかるのかも早めに把握しておくと、家計の見通しが立ちます。預け先の安全面では、こども性暴力防止法が2026年12月に施行される点も施設選びの目安になります。

よくある質問

こども誰でも通園制度はいつから使えますか?
2026年4月から全国すべての市町村で始まっています。ただし受け入れを開始する時期は事業所ごとに異なり、年度途中から始まる施設もあります。お住まいの市町村のサイトで「乳児等通園支援事業」の実施事業所一覧を確認するのが確実です。2025年度に先行実施していた252自治体では、すでに受け入れが続いています。
こども誰でも通園制度の料金はいくらですか?
国が示す標準は1時間あたり300円程度で、月10時間なら3,000円程度です。ただし実際の額を決めるのは事業所なので、施設によって差が出ます。これとは別に昼食代・おやつ代などの実費が必要です。生活保護世帯や市町村民税所得割合算額が77,101円未満の世帯には、負担軽減の仕組みが用意されています。
こども誰でも通園制度のデメリットは何ですか?
月10時間という枠の短さ、事前面談が必要で急な利用に向かないこと、地域によって予約が取りにくいことの3点です。試行段階の自治体アンケートでも81.6%が保育者の確保を課題に挙げていました。加えて2026・2027年度は経過措置で上限が月3時間まで下げられる市町村があり、住む場所で使える時間が変わります。

まずは自治体の案内とつうえんポータルを確認しましょう

こども誰でも通園制度は、働いていてもいなくても、すべての家庭が保育施設を時間単位で使える仕組みです。2026年4月の本格実施で給付制度になり、「住む場所によって制度そのものがない」という状態は解消されました。

一方で、上限時間・料金・予約の取りやすさには地域差が残ります。今日できることは2つ。お住まいの市町村のサイトで「乳児等通園支援事業」の上限時間と実施事業所を調べること、つうえんポータルで近くの施設を検索してみることです。すぐに使う予定がなくても認定の申請を先に済ませておけば、必要になったときにすぐ動けます。

高野智弘

この記事を書いた人:高野智弘
株式会社SUNCORE代表。教育メディア「教育Times」を運営し、文部科学省・こども家庭庁の公式発表をもとに、保護者向けの教育ニュース解説を発信している。
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