- 松本洋平文部科学大臣が2026年5月12日、「学校活動安全確保対策推進本部」を開き、校外活動の安全管理について一体的対策の検討を関係局長に指示しました。
- 2026年5月6日に磐越自動車道で起きた新潟・北越高校ソフトテニス部のバス事故では、生徒1人が死亡し、複数の生徒が病院に搬送されました。
- 2026年3月16日の沖縄県・辺野古沖での船舶転覆事故(同志社国際高校の修学旅行中)に続く校外活動中の重大事故で、文科省は事業者との契約・引率体制・移動手段の安全確認を一気に見直します。
- 文科省は4月7日にも全国の教育委員会あてに「学校における校外活動の安全確保の徹底等について」の通知を発出しており、二度目の指示となります。
- 修学旅行・遠足・部活動の遠征を控えるご家庭は、バス事業者の安全性評価や引率体制を学校に確認しておきましょう。
校外活動の安全、文科省が対策本部で何を指示したか
松本洋平文部科学大臣は2026年5月12日、文部科学省内で「学校活動安全確保対策推進本部」を開きました。会合では、各局の局長に対して、校外活動の安全管理について一体的な対策を検討するよう指示が出ています。
きっかけになったのは、5月6日に福島県の磐越自動車道で起きた新潟・北越高校ソフトテニス部のバス事故です。男子高校生1人が亡くなり、ほかの生徒が病院に搬送されました。3月には沖縄県・辺野古沖でも、修学旅行中の同志社国際高校の生徒らが乗った船舶の転覆事故が発生し、女子生徒1人と船長1人が亡くなっています。校外活動中の重大事故が短期間で続いたため、文科省は省を挙げて対策に乗り出しました。
生徒の安全確保が重要である一方、スポーツや文化活動に取り組む機会を確保することも重要であり、両立をしっかり図らなければならない。
引用:文部科学省 松本洋平大臣記者会見(令和8年5月12日)

高野智弘
磐越道バス事故|2026年5月6日に何が起きたか
文科省が動いた直接のきっかけになった事故の経緯を整理します。報道された事実関係をもとに、保護者の視点で押さえておきたい3つの論点を見ていきます。
事故の経緯|練習試合への移動中にガードレールへ衝突
2026年5月6日朝5時半ごろ、新潟・北越高校の男子ソフトテニス部員20人を乗せたマイクロバスが新潟県を出発し、福島県内の練習試合会場に向かいました。午前中、磐越自動車道郡山市内の緩やかなカーブで、バスが道路脇のクッションドラムやガードレールに衝突。生徒1人が車外に投げ出されて亡くなり、ほかの乗員も病院に搬送されました。後続車も巻き込まれ、死傷者は合計で21人にのぼっています。
福島県警は事故当日、運転手の68歳の男性を自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕。運転手は「速度の見極めが甘かった」「曲がり切れなかった」と話していると報じられています。
浮かび上がった3つの論点
事故後の会見や報道で、校外活動の安全管理として議論されているのは次の3つです。
- 貸切バスではなく、白ナンバーのレンタカーだった。学校側は「貸切バスを依頼した」、バス会社側は「レンタカーの手配を頼まれた」と認識が食い違っています。
- 顧問がバスに同乗していなかった。今年度から副顧問が交代となり、スケジュール上同行できない状況が続いていたと報じられています。
- 運転手の体調・運転状況に不安の声があった。生徒からは「トンネル内で車体をこすった」「不安定だった」との証言が出ています。
事業者に移動手段を依頼する場合、契約内容を明確にした上で適切な契約を行い、旅客運送の安全確保をあらかじめ確認することが必要。
引用:文部科学省 松本洋平大臣記者会見(令和8年5月12日)

高野智弘
文科省ガイドラインの現状|4月7日通知で求められている安全確保
文科省は今回の指示に先立ち、2026年4月7日付で「学校における校外活動の安全確保の徹底等について」の通知を全国の教育委員会・国公私立大学法人などに発出しています。今回の5月12日の指示は、この通知の実効性をさらに高めるための一手です。
4月7日通知で求められた5つの対応
文科省が学校設置者に求めている内容は、おおむね次のとおりです。
| 項目 | 求められている対応 |
|---|---|
| 危機管理マニュアルの点検 | 各校の「危機管理マニュアル」を点検し、必要に応じて改定する。評価・見直しガイドラインとチェックリストを活用する |
| 事前の現地確認 | 現地の状況や気象情報を十分に把握し、悪天候時の代案を事前に決めておく |
| 船舶利用時の確認 | 修学旅行などで船舶を使う場合、海上運送法の許認可を取得した事業者を選ぶ |
| 引率体制 | 必要十分な引率教職員を確保し、関係業者への過度な依存を避ける |
| 緊急連絡体制 | 事故・急変時の連絡経路を整備し、児童生徒への事前安全指導を徹底する |
学校における校外活動時を含めた児童生徒の安全の確保については、学校保健安全法に基づき、危機管理マニュアルの作成が義務付けられている。
引用:文部科学省 学校における校外活動の安全確保の徹底等について(通知)
「危機管理マニュアル」は全校で作成義務がある
学校保健安全法第29条で、校外活動時の安全確保を含む「危機管理マニュアル」の作成はすべての学校の義務です。修学旅行・遠足・林間学校・部活動の遠征も対象です。各校で点検・改定が進んでいるかは、保護者会や学級懇談で確認できます。
保護者がすぐ確認したい5つのポイント
文科省の指示や通知の内容を、家庭で動かせる形に落とし込みました。修学旅行・遠足・部活動の遠征を控えるご家庭で活用してください。
| 確認ポイント | 聞く相手 | 確認の目安 |
|---|---|---|
| 1. バス事業者の認証 | 学校・部活動顧問 | セーフティバス認定の有無、貸切バスかレンタカーか |
| 2. 引率体制 | 担任・顧問 | 引率教員の人数、バス・船舶への同乗の有無 |
| 3. 危機管理マニュアル | 学校 | 校外活動用のマニュアルがあるか、最新の改定状況 |
| 4. 緊急連絡体制 | 担任 | 事故・急変時の保護者連絡の流れ、保険の加入状況 |
| 5. お子さんへの事前指導 | 家庭で | シートベルトの着用、体調不良時の声かけの仕方 |
「セーフティバス」認定をチェックする
国土交通省と公益社団法人日本バス協会が運営する貸切バス事業者安全性評価認定制度(セーフティバス)は、運転者教育・健康管理・先進安全装置の導入などを審査する仕組みです。2025年度から評価基準が改正され、最高評価が3つ星から5つ星に拡張されました。認定事業者は公式サイトで公開されています。
セーフティバスは、貸切バス事業者の安全性に対する取組状況を評価・認定し、利用者の安全な事業者選択を支援する制度です。
引用:公益社団法人日本バス協会 貸切バス事業者安全性評価認定制度
家庭でお子さんに伝えておきたい3つのこと
学校側の安全管理に加え、ご家庭でもお子さんに事前指導をしておくと、いざというときの行動が変わります。最低限押さえたいのは次の3点です。
- シートベルトは座席に座った直後に着ける。バスでも全席で着用が義務化されています。
- 体調が悪くなったら、我慢せず先生に伝える。乗り物酔いや頭痛も無理せず申告する。
- 緊急時の連絡先を自分で言える状態にする。保護者の携帯番号と学校代表番号をメモまたは暗記する。

高野智弘
これからの動きと家庭で備えること
文科省は今後、調査・捜査の報告を精査したうえで、しかるべきタイミングで全国の学校に周知徹底するとしています。国土交通省とも連携し、校外活動向けの安全基準の運用見直しが進む見込みです。
ご家庭でできるのは、お子さんに安全行動の基本を伝えることです。バス・船舶でのシートベルト着用、体調不良時に我慢せず大人に伝えること、緊急時の連絡先を自分で言えるようにしておくこと。校外活動を「不安だから行かせない」のではなく、「安心して送り出すための準備をする」姿勢が、お子さんの自立にもつながります。
学校に連絡帳や保護者会で確認したい場合は、文科省の通知タイトル「学校における校外活動の安全確保の徹底等について」を引用すると、話がスムーズに進みます。
校外活動の前後に家庭で取り組める学習
修学旅行や校外学習のあとは、見学先について調べたり、感想文や新聞をまとめたりする宿題が出ることがあります。事前に行き先の歴史や地理を予習しておくと、当日の学びがぐっと深まります。
学年別の社会・理科の学習プリントや、新聞づくりに使えるワークシートは、こども教材プラスから無料でダウンロードできます。小学生から中学生まで対応しているので、校外活動の事前学習・事後学習にぜひお役立てください。
ご家庭での進め方や、お子さんに合った教材選びで迷ったときは、運営会社へのお問い合わせからご相談ください。