- 横浜市が令和8年度から市立小学校337校全てで「チーム担任制」を全国で初めて全面展開
- 「チーム・マネジャー」を学年に配置し、複数の教員が授業も学級担任業務も分担する仕組み
- 「ローテーション型」「副担任型」「育短対応型」の3つの型から学校が選べる
- 新人教員を一人で担任にしない「横浜型スタートアップモデル」がモデル校で同時にスタート
- 背景は公立小学校の教員採用倍率2.0倍という7年連続の過去最低水準
横浜市、令和8年度から「チーム担任制」を337校で全面展開
横浜市は令和8年度(2026年度)から、市立小学校337校全てで「チーム担任制」を全面展開しています。学校ごとの試験的な取り組みではなく、市内の小学校全てで一斉に始めるのは全国で初めてです。横浜市教育委員会事務局学校教育部・教職員企画部が令和8年4月21日に記者発表資料を公表し、概要を明らかにしました。
チーム担任制では、これまで1人の担任が抱えていた学級担任業務を複数の教員で分担します。授業を教科ごとに分担する「教科担任制」と似ていますが、横浜市の取り組みはさらに踏み込んでいます。朝の会や給食の時間、保護者対応や事務作業まで複数の教員でチームを組んで担当するのが特徴です。
横浜市の小学校児童の保護者にとっては、お子さんの担任が令和8年度から「1人」ではなく「チーム」になるという大きな変化です。
横浜市立小学校では、児童が複数の教員と関わりながら、安心して学校生活を送れるよう”チームで子どもたちを育む”環境を整えています。令和8年度からは、チーム・マネジャーを創出したチーム学年経営を基盤に、授業だけでなく学級担任業務も分担する「チーム担任制」を全国で初めて337校全ての小学校で展開しています。
引用:横浜市記者発表資料(令和8年4月21日)

高野智弘
チーム担任制とは?横浜独自の3つの特長
横浜市が記者発表で示したチーム担任制の特長は3つあります。順に見ていきます。
①チーム・マネジャーが学年全体を支える
横浜市のチーム担任制の核は「チーム・マネジャー」と呼ばれる役割の教員です。学年全体をマネジメントする立場で、平成30年度から段階的に整えられてきました。令和7年度からは、チーム・マネジャーを生み出すための原資として29時間の非常勤講師が全校に配置されています。
学年に「マネジャー」がいることで、年度途中に転入生が増えたり、教員に急な欠員が出たりした場合にも、学年全体で柔軟に対応できる体制が整います。
②3つの型で柔軟に対応できる
チーム担任制には3つの型があり、各学校が状況に応じて選べます。
| 型 | 仕組み | 向いているケース |
|---|---|---|
| ローテーション型 | 複数の教員が学級を順番に担当する | 多様な教員と関わらせたい学年 |
| 副担任型 | 1年目・3年目・5年目など経験差のある教員でチームを組む | 新人教員の育成を重視する学年 |
| 育短対応型 | 育児短時間勤務の教員と他の教員が午前・午後で分担 | 育児中の教員が働きやすい体制 |
3つの型のいずれを採用するかは学校や学年の事情で決まります。横浜市内に転校したばかりのお子さんがいるご家庭は、入学・進級時の説明会で「うちの学年はどの型ですか」と確認しておくと安心です。
③朝の会も給食もチームで分担
横浜市のチーム担任制が他自治体の取り組みと異なるのは、授業以外の時間まで分担対象に含めている点です。教科の授業を分けるだけでなく、朝の会・帰りの会・給食指導・保護者対応・事務作業まで、複数の教員が役割を分けて担当します。
「担任業務を組織的に行う」という方針の表れです。担任1人の判断や負担に依存していた仕組みを、チーム単位の運営に変えるのが目的とされています。
新人教員を一人にしない「横浜型スタートアップモデル」
令和8年度のもう1つの目玉が「新人教員を一人で担任にしない学校づくり〈横浜型スタートアップモデル〉」です。モデル校で検証が始まりました。
このモデルでは、教員になりたての1年目にいきなり1人で学級担任を任せるのではなく、チーム・マネジャーが新人教員と一緒に教室に入る体制を取ります。教科指導も学級運営も学級担任業務も、最初から1人で抱え込まない仕組みです。
《横浜型スタートアップモデル》では、学校全体で新人教員をサポートするだけでなく、さらにチーム・マネジャーが新人教員と一緒に、教科指導、学級運営、学級担任業務などを行うことで、研修で学んだことや指導教員からの助言・アドバイスを実践できる期間を確保するなど、新人教員が自信をもって業務に取り組めるようサポートしていきます。
引用:横浜市記者発表資料(令和8年4月21日)

高野智弘
背景は教員採用倍率2.0倍、7年連続の過去最低
なぜ今チーム担任制なのか。最大の背景は教員不足の深刻化です。文部科学省が令和7年12月に公表した最新の採用試験結果は次のとおりです。
| 校種 | 採用倍率 | 状況 |
|---|---|---|
| 公立小学校 | 2.0倍 | 0.2ポイント低下/7年連続過去最低 |
| 公立中学校 | 3.6倍 | 0.4ポイント低下/過去最低 |
| 公立高校 | 3.8倍 | 0.6ポイント低下/過去最低 |
| 全体 | 2.9倍 | 初めて3倍を割り込み過去最低 |
公立小学校の2.0倍は、応募してきた2人のうち1人が採用される計算です。質の高い人材を選びにくい状況で、文科省は採用倍率の低下を「大量退職に伴う採用増」「既卒受験者の減少」と分析しています。
担任業務の負担を減らさなければ、若手の離職や志望者の減少は止まりません。チーム担任制はこの構造的な課題への対応策の1つです。
保護者がチーム担任制を知っておくべき3つの理由
横浜市以外でも、チーム担任制が今後広がる動きが出るかもしれません。保護者が押さえておきたい視点を3つにまとめました。
| 視点 | 家庭で押さえておきたいポイント |
|---|---|
| 担任との相性問題が緩和される | 1人の担任に依存せず複数の教員が関わるため、合わない関係が1年続くリスクが下がる |
| 連絡窓口を確認しておく | 学級だより・連絡帳・面談の窓口がチーム内で分担される。学年だよりで主担当を確認 |
| 戸惑いがあれば学校に伝える | お子さんが混乱している様子があれば、遠慮なく学校に共有することで運用が改善される |
家庭でできることは多くありませんが、お子さんが「今日は誰の授業だった?」「給食は誰と食べた?」と話せるよう、夕食時の会話で具体的に聞いてあげるだけでも、複数担任の体制に慣れるきっかけになります。

高野智弘
学校の制度変更に振り回されない家庭学習の備え
横浜市は平成30年度から段階的にチーム・マネジャーの仕組みを試し、令和7年度に全校配置を実現、令和8年度に「チーム担任制」として全面展開という8年がかりの工程を経て今回の発表に至りました。一気に始めた制度ではない点が、他自治体にとっても参考になります。
文部科学省はチーム担任制について全国一律の方針を示していません。一方で教科担任制は令和7年度から小学3年・4年への拡大が進んでいます。横浜市の事例は、教員確保が困難な大都市部や、児童数が増えている地域にとって、現実的な参考モデルになりそうです。お子さんの学校でも今後「学年で複数の先生が見る体制になります」という説明があるかもしれません。
学校の制度は数年単位で変わります。教員の体制が変わっても揺るがないのは、家庭で積み上げる学びの土台です。こども教材プラスでは、家庭学習や教材選びを通して、学校の制度変更に左右されない学びの土台づくりについて発信しています。学校任せにしない準備という観点で参考になれば幸いです。
学習環境の変化という視点では、小4以下のデジタル教科書見送りのニュースとあわせて押さえておくと、令和8年度の小学校で何が変わるのかを家庭で把握しやすくなります。