- 2027年度入試の総合型選抜は、2026年9月1日から出願受付が始まります。合格発表は11月1日以降です
- 学校推薦型選抜は出願が11月1日以降、合格発表は12月1日以降と、2か月ずれた日程になっています
- 文科省の最新集計では、大学入学者648,430人のうち53.7%が総合型選抜か学校推薦型選抜で入学しました
- 私立大学に限ると61.7%がこの2方式です。一方で国立大学は20.4%にとどまり、設置者で事情が大きく違います
- 推薦入試を経験した大学生の64.8%が「もっと早く知っていれば別の進路も検討した」と答えた調査も出ています
お子さんが高校生になると、「推薦で行けるなら早めに動いたほうがいいのでは」と考える場面が出てきます。2027年度入試の総合型選抜は、2026年9月1日から出願受付が始まります。文部科学省の最新集計によると、大学入学者の53.7%は総合型選抜か学校推薦型選抜での入学で、一般選抜は46.3%どまりでした。この記事では、3つの選抜方式の日程と入学者の内訳、高校1・2年生の保護者がこの時期に確認しておきたい点を整理しています。
総合型選抜の出願は2026年9月1日から始まる
大学入試の日程は、各大学が自由に決めているわけではありません。文部科学省が毎年「大学入学者選抜実施要項」を通知し、選抜方式ごとに出願と合格発表の解禁日を定めています。2027年度入試にあたる令和9年度の要項は、2026年5月27日付けで各大学に通知されました。
3つの選抜方式で日程はこう違う
| 選抜方式 | 出願受付 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 2026年11月1日以降 | 2026年12月1日以降 |
| 一般選抜 | 試験期日に応じて各大学が設定 | 2027年3月31日まで |
表から読み取れるのは、総合型選抜だけが夏の終わりに動き出すことです。一般選抜の個別試験が2027年2月1日から3月25日の間に行われるのに対し、総合型選抜は半年近く早く出願が始まり、年内に結果が出ます。要項には理由もはっきり書かれています。
総合型選抜については、一般選抜とは異なる観点や方法により時間をかけて丁寧に選抜を行うため、入学願書受付を令和8年9月1日以降とし、その判定結果を令和8年11月1日以降に発表する。
引用:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
「時間をかけて丁寧に」という表現が、総合型選抜の性格をよく表しています。1日の学力試験で決めるのではなく、書類・面接・プレゼンテーションなどを組み合わせて数か月かけて見るため、その分だけ前倒しになっているわけです。なお学校推薦型選抜で共通テストを使う大学は、合格発表の期限が「一般選抜の試験期日の前日まで」に緩められています。共通テスト2027の日程は本試験が2027年1月16日・17日で、その結果を見てから判定するためです。
総合型選抜と学校推薦型選抜の違いは「推薦が要るかどうか」
名前が似ているため混同されがちですが、出発点が違います。学校推薦型選抜は在籍する高校の校長推薦が前提で、評定平均などの条件を満たした生徒が学校の枠を通じて出願します。総合型選抜は本人が直接出願でき、高校の推薦を必要としない方式が中心です。
そのため、学校推薦型選抜は校内選考の時期に間に合わせる必要があり、総合型選抜は本人がいつ動き出すかで結果が変わります。日程が2か月ずれているのも、この性格の違いによるものです。
あわせて押さえておきたいのは、9月1日が解禁日であって準備の開始日ではないことです。志望理由書や活動報告をまとめるには数週間かかるため、実際に出願する生徒は夏の間に手を動かしています。
大学入学者の53.7%が総合型・学校推薦型で入っている
文部科学省は2025年11月26日、令和7年度の入学者選抜の実施状況を公表しました。2025年5月1日時点で集計したもので、全国778大学2,661学部が対象です。入学者648,430人の内訳を選抜方式ごとに見ると、一般選抜が300,249人、学校推薦型選抜が221,415人、総合型選抜が126,766人でした。
緑の2本を足すと53.7%になります。一般選抜で入学する人は半数を下回っており、大学入試の主流はすでに1回の試験で決める形ではなくなっています。割合は四捨五入しているため、3つを足しても100%ちょうどにはなりません。
国立・公立・私立で入り方はまったく違う
全国の平均だけを見ると実態を読み違えます。設置者ごとに分けると、同じ「推薦・総合型」でも比重がまるで異なります。
| 区分 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | 2方式の合計 |
|---|---|---|---|
| 国立大学 | 7.7% | 12.7% | 20.4% |
| 公立大学 | 6.0% | 26.9% | 32.9% |
| 私立大学 | 22.8% | 38.8% | 61.7% |
| 全体 | 19.5% | 34.1% | 53.7% |
表を見ると、私立大学では6割を超える入学者が総合型選抜か学校推薦型選抜で入っている一方、国立大学は2割にとどまります。国立志望なら共通テストと個別試験の対策が中心になり、私立志望なら推薦系の枠を最初から視野に入れる。同じ「大学受験」でも、家庭で立てる計画は別物になります。
全体の割合が高く見えるのは私立大学の規模が大きいため
全体で53.7%という数字が出るのは、私立大学の入学者512,232人が全体648,430人の約8割を占めているからです。私立の61.7%が、そのまま全国平均を押し上げています。
裏を返せば、国公立を志望するご家庭にとって、この53.7%は自分たちの受験を説明する数字ではありません。国立大学では入学者の79.6%が一般選抜で入っています。ニュースの見出しに出る全国平均ではなく、志望校が属する区分の数字を見る必要があります。
高野智弘
「総合型選抜が急増」という数字に文科省は注意書きをつけている
同じ資料には、総合型選抜で入学した割合が令和5年度14.8%、令和6年度16.1%、令和7年度19.5%と3年分並んでいます。この並びだけを見れば、右肩上がりに増えているように読めます。ところが文部科学省は、その比較を明確に否定する注記を添えています。
令和7年度大学入学者選抜実施要項より、各選抜区分の特性と選抜の実態との整合性を図る観点から従来の「一般選抜とそれ以外」という整理を改め、「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」に再整理したことから、令和6年度入学者選抜の数値との比較はできない。
引用:文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」
前年度と比べられない2つの理由
1つ目は、区分の数え方そのものが変わったことです。それまで「一般選抜とそれ以外」で整理していたものを、実態に合わせて3区分に振り分け直しました。器が変われば中身の数も動きます。
2つ目は、集計範囲の変更です。同じページにもう1つ注記があり、令和7年度の数値には外国人留学生を対象とする選抜が含まれるため前年度と比較できない、と明記されています。総合型選抜の伸びのうちどこまでが実際の増加なのかは、この資料だけでは切り分けられません。
公表後に「ポイント」が削除されている
さらに踏み込むと、文部科学省はこの発表の冒頭に置いていた要約部分を、公表から数日後に取り下げています。ページには「冒頭に記載していたポイントについては、誤認を招く表現を含んでいたため削除しました。(令和7年12月1日追記)」との追記が残っています。発表した側が、自ら数字の読まれ方を訂正した形です。
つまり、53.7%という水準そのものは信頼できる一方、「去年より何ポイント増えた」という語り方は根拠が弱いことになります。増加傾向を前提にした進路判断は、いったん保留しておくのが安全です。
高野智弘
大学生の64.8%が「もっと早く知っていれば別の進路も考えた」
制度の日程と割合がわかっても、それが家庭に届いていなければ意味がありません。推薦入試に特化した予備校「碧推薦学院」を運営する株式会社水曜日が2026年8月11日に公表した調査は、そのずれを数字にしています。4年制大学に在籍する1〜3年生のうち、高校在学中に総合型選抜または学校推薦型選抜を検討・出願し、学校の先生に相談した経験がある301名に、2026年8月1日から6日にかけて実施されました。
| 高校時代を振り返っての回答 | そう答えた割合 |
|---|---|
| 高校1・2年生から情報を提供すべきだった | 82.1% |
| もっと早く推薦入試について知りたかった | 72.4% |
| 早く知っていれば別の大学・学部も検討していた | 64.8% |
| 高校から十分な説明を受けられなかった | 58.5% |
| 情報不足で出願を諦めた選択肢があった | 44.5% |
表で目を引くのは、44.5%が「情報不足で出願を諦めた選択肢があった」と答えている点です。学力や意欲ではなく、知らなかったという理由だけで受けられなかった大学がある。回答したのは実際に推薦入試まで進んだ層ですから、検討すらしなかった生徒を含めれば、この割合はさらに大きくなると考えられます。
情報が届くのは高3の夏になってから
58.5%が高校からの説明が足りなかったと感じ、82.1%が高1・高2からの提供を求めています。進路指導の多くは高3のガイダンスに集中しますが、総合型選抜の出願は高3の9月です。9月に出す書類の準備を7月に知る流れでは、間に合わないことが起きます。
学校側の事情もあります。総合型選抜は大学ごとに選考方法が異なり、全生徒に均一な説明をしづらい分野です。そのため、家庭が自分で情報を取りに行く必要が残っています。
高校1・2年生の保護者が9月までにできること
特別な対策は要りません。次の4つを確かめるだけで、出遅れはかなり防げます。
- 志望校の募集要項で、方式ごとの募集人員を見る。総合型選抜と学校推薦型選抜で何人採るかは大学ごとに大きく違います
- 評定平均の条件を確認する。学校推薦型選抜は高1からの成績が積み上がるため、高2の時点で条件を知る意味があります
- 出願に必要な書類の種類を控えておく。志望理由書、活動報告書、外部検定のスコアなど、準備に時間がかかるものを先に把握します
- 校内選考の時期を担任に聞く。学校推薦型選抜は校内の締切が大学の出願日より前に来ます
進路の選択肢を早く知る点では、中学受験をいつから始めるかを考えるときと構造が似ています。判断の材料が揃う時期が早いほど、選べる幅は広がります。あわせて高校でかかる費用も把握しておくと、大学進学までの資金計画が立てやすくなるはずです。
高野智弘
よくある質問
総合型選抜の出願はいつからですか?
総合型選抜と学校推薦型選抜はどちらが有利ですか?
評定平均が足りないと総合型選抜は受けられませんか?
9月1日は、動き出す日ではなく締切に近い日
総合型選抜の出願が2026年9月1日に始まる。この一文を、準備の開始日と読むか、締切の入口と読むかで、家庭の動き方が変わります。書類をまとめる時間を考えれば、9月はすでに終盤です。
大学入学者の53.7%が総合型選抜か学校推薦型選抜で入っている現在、一般選抜だけを前提にした進路設計は選択肢を狭めます。お子さんが高校1年生・2年生なら、募集要項を一度開いてみてください。数字の増減に振り回されるより、志望校が今どの方式で何人採っているかを知るほうが、確かな判断材料になります。
併願できる方式が広がったことで、進学しない大学にも入学金を納める場面が増えています。私立大学の学費平均と入学までにかかる費用の内訳では、入学しなかった大学への納付金が平均272,750円にのぼる実態と、返還や分納の動きをまとめました。
