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私立大学の学費平均、69分野中59分野が値上がり【2026年度】

このニュースを1分で解説
  • 旺文社教育情報センターが2026年8月18日、2026年度の大学の学費平均額を公表しました。私立大学は69の学問分野のうち59分野で授業料・初年度納入金がともに値上がりしています
  • 私立大学の初年度納入金は中央値で150万円。国立大学は標準額が入学金282,000円・授業料535,800円で、上限まで引き上げる大学が相次いでいます
  • 全国大学生協連の調査(保護者55,076名)では、受験から入学までの総額は1,163,820円〜2,824,290円でした
  • 費目で2番目に大きいのは入学しなかった大学への納付金272,750円です。併願が広がり、入学金の「二重払い」が起きています
  • 文部科学省は私立大学に入学金の負担軽減を要請し、返還・分納・減免に踏み切る大学が出てきました

「大学進学って、結局いくら用意すればいいの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。旺文社教育情報センターが2026年8月18日に公表した集計では、私立大学の学費は69の学問分野のうち59分野で値上がりしていました。さらに、保護者55,076名に聞いた調査では、受験から入学までにかかった総額は最も低い層でも116万円を超えています。この記事では、2026年度の学費の実額、入学までにかかるお金の内訳、そして負担を減らすために今できることを整理しました。

2026年度の私立大学の学費平均、69分野中59分野が値上がり

旺文社教育情報センターは2026年8月18日、2026年度の大学の学費平均額をまとめた資料を公表しました。大学へのアンケート回答をもとに、設置者別・学問分野別に入学金、授業料、初年度納入金を集計したものです。

最も大きな変化は私立大学に表れています。69の学問分野のうち、授業料も初年度納入金もそろって値上がりした分野が59にのぼりました。文系・理系を問わず、幅広い分野で学費が上がっています。

国立大学は標準額を超える改定が続いている

国立大学の入学金と授業料は文部科学省令で標準額が定められています。昼間部の標準額は入学金282,000円、授業料535,800円です。ただし特別な事情がある場合には、各大学の判断で標準額の20%増を上限に引き上げられます。上限まで引き上げた場合の授業料は642,960円です。

2026年度に改定した国立大学は4校、2027年度も検討中を含めて4校あり、改定の動きが続いています。改定の理由として以前は国際化の推進や人材育成が挙げられていましたが、最近は老朽化した施設の修繕、物価の高騰、厳しい財源に言及する例が目立つようになりました。

私立大学の初年度納入金は中央値で150万円

設置者ごとの学費を並べると、差がはっきり見えてきます。私立大学は入学金こそ国公立と大きく変わらないものの、授業料が90万円台に達し、初年度納入金を押し上げています。

区分入学金授業料(年額)初年度納入金
国立(標準額)282,000円535,800円817,800円(左記の合計)
公立・地域内(中央値)232,000円535,800円824,100円
公立・地域外(中央値)338,400円535,800円969,430円
私立(中央値)240,000円900,000円1,500,000円
出典:国立は文部科学省令の標準額。公立・私立は旺文社教育情報センター「2026年度 大学の学費平均額」(2026年8月18日公表)の中央値

表で目を引くのは公立大学の入学金です。地域内と地域外で106,400円もの差があります。公立大学は保護者やお子さんの住所が大学の定める区域内かどうかで入学金が変わる例が多く、区域の範囲と判定の基準日は大学ごとに違います。志望校が決まったら、募集要項でこの2点を必ず確かめてください。

高野智弘
高野智弘
学費を調べるときは、入学金と授業料だけを見て安心しないでください。初年度納入金には施設設備費や諸会費も含まれます。入学金と授業料が据え置きでも、それ以外の項目が上がって初年度納入金だけ増える例が実際にあります。大学の学費ページでは「初年度納入金の総額」を見るのが確実です。

受験から入学までの総額は116万円から282万円

学費そのもの以上に家計に効いてくるのが、受験から入学までの一連の出費です。全国大学生活協同組合連合会は2026年7月31日、2026年4月に入学した新入生の保護者55,076名から回答を得た「2026年度保護者に聞く新入生調査」の概要報告を公表しました。回収率は44.7%、対象は177大学(国立67・公立37・私立73)です。

受験から入学までにかかった費用は、進学先の設置者、専攻、自宅から通うか下宿するかで大きく開きます。最も低かったのは国公立・自宅・文科系の1,163,820円、最も高かったのは私立・下宿・6年制医歯薬系の2,824,290円でした。自宅生の平均は国公立1,222,470円・私立1,315,390円、下宿生では国公立1,918,500円・私立2,000,500円です。

費目で最も大きいのは入学した大学への納付金

内訳を見ると、支出が最も大きい費目は入学した大学への納付金で721,030円でした。注目したいのは2番目です。入学しなかった大学への納付金が272,750円を占めています。

入学までの費用の内訳 入学した大学への納付金 72.1万円 入学しなかった大学への納付金 27.3万円 教科書・教材・パソコン費用 24.8万円 入居・引越費用 22.5万円 出願費用(受験料など) 11.5万円 出典:全国大学生協連「2026年度保護者に聞く新入生調査」

グラフから読み取れるのは、入学した大学以外に消えるお金の大きさです。入学しなかった大学への納付金は、教科書・教材・パソコン費用247,710円や入居・引越費用224,840円を上回っています。受験料などの出願費用115,030円は前年から減少しましたが、私立の受験料は国公立より11,120円高いという差も出ました。

教科書・パソコン代に驚いた保護者が45.9%

費用面で予定と違って困ったことを聞くと、「教科書や教材、パソコンの費用が高かった」が45.9%で最多でした。次いで「家賃や新生活用品の費用が高かった」が25.8%、「特に困ったことはなかった」は23.3%にとどまります。

下宿生の生活用品購入費用は329,570円で、過去10年間で最も高い水準になりました。地域差も大きく、東京・埼玉・千葉・神奈川では入居費用が278,120円、1か月の家賃平均が71,260円と、他の地域より目立って高くなっています。

高校の3年間でかかる費用の全体像は高校無償化でも授業料以外に年55万円かかる教育費の内訳で詳しくまとめています。高校段階の支出と合わせて見ると、準備すべき時期が見えてきます。

入学しない大学に平均27万円、二重払いが起きる理由

入学しなかった大学への納付金272,750円という数字に、驚かれた方も多いと思います。これは受験生が複数の大学に合格し、進学先を決める前に入学金を納める必要があるために生じるお金です。

併願できる入試方式の広がりが背景にある

かつては一般選抜が中心で、合格発表の時期もある程度そろっていました。いまは総合型選抜や学校推薦型選抜で併願できる大学が増え、一般選抜より早い時期から合格が出ます。進学先が固まらないうちに納付期限が訪れるため、複数の大学に入学金を納める場面が生まれました。文部科学省もこの構造を明確に認めています。

最高裁判所判決当時に比べ、併願が可能な総合型選抜等を実施する大学が増える等、一般選抜以前の受験機会が拡大していることをはじめ、入学者選抜の機会が多様化し、入学料を複数の大学に納付する機会が拡大している状況があるとともに、高等教育における教育費負担軽減が重要な課題となっています。
引用:文部科学省「『私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について』(令和7年6月26日付文部科学省高等教育局私学部長通知)の考え方等について」

総合型選抜の出願は2027年度入試でも9月1日から始まります。日程の全体像は総合型選抜が9月1日出願開始となる2027年度入試の仕組みで確認できます。

専攻によっては66万円に達する

入学しなかった大学への納付金は、受ける入試の数と学部系統によって大きく変わります。専攻別に見ると差が鮮明です。

進学先・専攻入学しなかった大学への納付金
国公立・文科系245,220円
国公立・理工系262,570円
国公立・6年制医歯薬系661,300円
私立・文科系252,010円
私立・理工系269,750円
私立・6年制医歯薬系417,820円
出典:全国大学生協連「2026年度保護者に聞く新入生調査」(2026年7月31日公表・保護者55,076名回答)

表が示すのは、国公立を第1志望にする家庭ほど二重払いが重くなりやすい点です。国公立・6年制医歯薬系の661,300円は、私立の同じ系統417,820円を24万円あまり上回ります。国公立の合格発表が私立より遅いため、私立を押さえるための納付が先に発生するからです。

高野智弘
高野智弘
この27万円は「もったいない出費」ではなく、進路の選択肢を確保するための費用だと考えてください。ただし金額は出願戦略で変わります。併願校を決める段階で、各校の合格発表日と入学金の納付期限を1枚の表に書き出してみてください。国公立の発表を待てる大学がどれかが見えると、納める必要のない入学金を減らせます。

入学金の返還や分納が広がる、募集要項で見る3点

負担の重さを受けて、制度側も動き始めました。文部科学省は2025年6月26日、私立大学に対して入学金に関する通知を出し、金額を抑えること、入学しない学生の負担を軽くすることなどを求めています。2026年3月13日には、大学から寄せられた質問への考え方も公表されました。

返還・分納・減免の3パターンを確認する

文部科学省が示した考え方には、大学が取りうる具体策が挙げられています。保護者の立場では、志望校の募集要項で次の3点を確かめると判断しやすくなります。

1つ目は返還の有無です。入学金を納めたあとでも、入学辞退を申し出た時期によって全部または一部を返す扱いが考えられると示されています。辞退の時期に応じて返還額に差を設ける方法も挙げられました。

2つ目は納付時期です。合格発表後にまず入学金の一部を納め、残りを年度内など一定の時期までに納める方法や、納付期限そのものを後ろ倒しにする方法が示されています。期限が1週間ほどしかない大学もあるため、ここは家計の準備に直結します。

3つ目は経済的に困難な家庭への配慮です。入学金の減免、納付時期を複数回に分ける対応、納付の猶予などが挙げられています。児童養護施設等の在籍証明書や、高校生等奨学給付金の支給決定通知、修学支援新制度の予約採用候補者決定通知の写しなどが、状況の確認に使われる例として示されました。

すでに募集要項に「納付された入学金は返還しない」と書かれていても、大学が負担軽減に取り組む場合は志願者にとって不利益ではないため、ホームページなどで別途公表して対応できるとされています。募集要項の記載だけで諦めず、大学の入試情報ページも見ておいてください。

支援制度の申請は高校3年生の春から動く

保護者がどう備えているかも調査に表れています。費用面で準備・工夫したことは「学資保険に入っていた・進学用の貯金をしていた」が44.7%で最も多く、「奨学金を申請した(する)」が35.5%、「貯蓄を切り崩した」が31.6%と続きました。奨学金の申請は前年より0.7ポイント、授業料の減免の申請は0.4ポイント増えて11.4%になっています。

見落としやすいのが申請の時期です。高等教育の修学支援新制度の予約採用は高校3年生の春から手続きが始まります。回答の自由記入欄にも、制度を入学直前まで知らず入学後に慌てて申請した例や、多子世帯の減免を高校3年生のときに申請しておけばよかったという声が寄せられていました。

受験から入学までに保護者が困ったことは「子供の体調や精神面のこと」が47.5%で最多ですが、「受験・入学手続きのスケジュール管理」が46.0%で続きます。この項目は2022年と比べて12.5ポイント増えました。「受験・入学のための費用準備」も37.7%で、2022年比9.4ポイント増です。お金そのものより、いつ何をするかの管理が難所になっています。共通テストを含めた日程は共通テスト2027の日程と出願開始日で確認できます。

高野智弘
高野智弘
いま高校2年生・3年生のお子さんがいるご家庭には、2つだけおすすめしたいことがあります。ひとつは、学資保険を使う予定なら年明けを待たずに解約時期を確認しておくこと。私立の合格発表から納付期限までが1週間程度の大学は珍しくありません。もうひとつは、修学支援新制度の予約採用の案内を高校でいつ配るか、担任の先生に聞いておくことです。この2つを押さえるだけで、慌てて借りる場面をかなり減らせます。

よくある質問

入学しなかった大学の入学金は返還されますか?
最高裁判所の判決では、大学は入学金の返還義務を負わないとされています。ただし文部科学省は2025年6月に私立大学へ負担軽減を要請し、辞退の時期に応じて全部または一部を返す取り組みが広がりつつあります。返還されるかは大学ごとに違うため、募集要項と大学の入試情報ページの両方で確認してください。なお授業料など入学金以外の納付金は、3月31日までに入学辞退を申し出れば原則として返還されます(最高裁2006年11月27日判決)。
初年度納入金とは何を指しますか?
大学1年次に支払う学費の総額で、入学金・授業料・施設設備費・諸会費などが含まれます。入学金と授業料だけを足した金額ではない点に注意してください。私立大学の初年度納入金は2026年度で中央値150万円です。入学金と授業料が据え置きでも、それ以外の項目が上がって初年度納入金が増える例があるため、総額で比べることが大切です。
大学受験の受験料は平均でいくらかかりますか?
全国大学生協連の調査では、願書の取り寄せなどを含む出願費用の平均が115,030円でした。このうち大部分を占めるのが受験料です。前年より減少したものの、私立大学の受験料は国公立より11,120円高くなっています。併願する大学が増えるほど積み上がるため、出願校を決める段階で受験料の総額を計算しておくと予算が立てやすくなります。

まとめ:学費は上がっている、動くのは高3の春から

2026年度の大学の学費は、私立で69分野中59分野が値上がりし、国立でも標準額を超える改定が続いています。受験から入学までにかかる総額は116万円から282万円と幅がありますが、そこには入学しない大学への納付金272,750円のように、事前に知っておけば減らせる出費も含まれます。

いま保護者にできることは3つです。志望校の初年度納入金を総額で確認すること、併願校の合格発表日と入学金の納付期限を並べて出願戦略を立てること、そして修学支援新制度や自治体の奨学金の申請時期を高校3年生の春までに調べておくことです。制度は年々変わり、入学金の返還に踏み切る大学も出てきました。最新の募集要項を見る習慣が、そのまま負担の軽減につながります。

教育Timesでは、文部科学省やこども家庭庁の発表をもとに、保護者の生活に直結する教育ニュースを週3回お届けしています。ご意見やご相談は運営会社のお問い合わせ窓口までお寄せください。

高野智弘

この記事を書いた人:高野智弘
株式会社SUNCORE代表。教育メディア「教育Times」を運営し、文部科学省・こども家庭庁の公式発表をもとに、保護者向けの教育ニュース解説を発信している。
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