子育て

5歳児健診がある市町村は18.8%、国が8月19日に見直し着手

このニュースを1分で解説
  • こども家庭庁が2026年8月17日、「乳幼児の健康診査等のあり方に関する検討会」を8月19日に初開催すると発表しました
  • 公費で5歳児健診を受けられるのは、全国で328市区町村(18.8%)だけです。住む場所によって受けられるかが分かれています
  • 1か月児健診も994市区町村(57.1%)にとどまり、乳児期の健診にも地域差が残っています
  • 国の補助単価は創設時から引き上げられ、1か月児6,000円・5歳児5,000円になりました
  • こども家庭庁の資料には、5歳児健診で学童期の不登校が減ったとする研究への言及もあります

「3歳児健診が終わったら、小学校の就学時健診まで何もないの?」と感じたことはありませんか。こども家庭庁は2026年8月17日、乳幼児健診のあり方そのものを見直す検討会を8月19日に初めて開くと発表しました。背景にあるのは、5歳児健診を公費で実施している市区町村が全国で328、割合にして18.8%しかないという現実です。この記事では、健診ごとの実施率の実データ、5歳児健診で何を診るのか、お住まいの市町村で受けられるかを確かめる方法までを整理しました。

こども家庭庁が8月19日に乳幼児健診の検討会を初開催

こども家庭庁は2026年8月17日、報道機関向けに「第1回 乳幼児の健康診査等のあり方に関する検討会」の開催を告知しました。乳幼児健診のあり方を正面から議論する場として、新たに設けられた検討会です。

開催は8月19日14時、YouTubeで公開される

開催日時は2026年8月19日(水)14時から16時まで。こども家庭庁成育局の会議室で、対面とオンラインを併用して行われます。会場での傍聴枠はありませんが、YouTubeでライブ配信されるため、保護者も当日の議論をそのまま見られます。アーカイブ配信は予定されていません。

第1回の議題は「検討会の進め方について」と「乳幼児の健康診査等について」の2点です。会議資料は当日にこども家庭庁のサイトへ掲載されます。

出発点は「こどもまんなか実行計画2026」

この検討会が立ち上がった直接のきっかけは、2026年6月9日にこども政策推進会議が決定した「こどもまんなか実行計画2026」です。ここに、健診をめぐる国の方針が書かれています。

さらに、出産直後から成育過程を通じて、全国どこに住んでいても、年齢等に応じて必要な健診や検査を受けられ、多様化する成育過程のニーズに対応した的確な保健・福祉サービスが提供されるなど、こどもの心身の健康や健やかな成育が保障される環境の更なる整備に向けた検討を進める。
引用:こども家庭庁「こどもまんなか実行計画2026」(令和8年6月)

注目したいのは「全国どこに住んでいても」の一文です。裏を返せば、いまは住んでいる場所によって受けられる健診が違う。その現実を国自身が課題として認めた形になりました。

同じ実行計画には、5歳児健診と小学校教育を結びつける記述もあります。

幼稚園・保育所・認定こども園が行う幼児教育の質的向上を図るとともに、5歳児健診を通じて就学に向けて必要な支援につなげるなど、地域にかかわらず小学校教育等との円滑な接続が図られるよう支援する。
引用:こども家庭庁「こどもまんなか実行計画2026」(令和8年6月)

5歳児健診は、単なる健康チェックではなく「小学校への橋渡し」として位置づけられています。ここが、保護者にとって最も大事な視点です。

高野智弘
高野智弘
検討会の第1回は、たいてい「現状と課題の共有」で終わります。ここで結論が出るわけではありません。ただ、8月19日に国がどのデータを課題として示すかは、来年度の予算や制度の方向を占う材料になります。ライブ配信を最初から見る必要はありませんので、当日以降に公開される会議資料だけ目を通しておくと、ご自身の自治体の状況を判断しやすくなります。

乳幼児健診の実施率は1か月児57.1%・5歳児18.8%

こども家庭庁は2026年7月22日付で「令和6年度 乳幼児健康診査の実施状況」を公開しました。市区町村が公費負担で実施している健診を、年齢別に集計したものです。ここに地域差がはっきり表れています。

健診の種類実施自治体数実施率主な実施方法
1か月児健診99457.1%個別 99.0%
3〜5か月児健診1,73399.5%集団 73.4%
6〜8か月児健診82247.2%集団 54.9%
9〜12か月児健診1,42882.0%集団 50.6%
1歳6か月児健診1,739(法定)集団 94.9%
3歳児健診1,739(法定)集団 97.3%
5歳児健診32818.8%集団 90.2%
出典:こども家庭庁「令和6年度 乳幼児健康診査の実施状況」(2026年7月22日公開)

表から読み取れるのは、乳児期の前半(3〜5か月)はほぼ全国で受けられる一方、1か月児と5歳児で大きく落ち込むという偏りです。同じ日本国内でも、生まれた月と住む市町村の組み合わせによって、就学までに受けられる健診の回数が変わります。

公費健診の実施率 3〜5か月児 99.5% 9〜12か月児 82.0% 1か月児 57.1% 6〜8か月児 47.2% 5歳児 18.8% 6歳児(就学まで) 2.1% 出典:こども家庭庁(令和6年度・1,741市区町村)

1歳6か月児健診と3歳児健診だけは義務

年齢によって実施率がこれほど違うのは、法律上の扱いが分かれているためです。母子保健法第12条は、市町村に対して「満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児」と「満三歳を超え満四歳に達しない幼児」への健康診査を義務づけています。1歳6か月児健診と3歳児健診が全国どこでも受けられるのは、この条文があるからです。

一方、第13条は「必要に応じ」健診を行うと定めるにとどまり、実施するかどうかは市町村の判断に委ねられています。1か月児健診も5歳児健診も、法律上はこちらの任意の健診にあたります。

こども家庭庁の資料には、見落としやすい注記も添えられていました。法定健診であるはずの1歳6か月児健診と3歳児健診の分母が、全国の1,741市区町村ではなく1,739とされている点です。脚注には、福島県の2自治体が実施していないためと書かれていました。

高野智弘
高野智弘
「法定だから全国どこでも同じ」と思われがちですが、実際には分母から外れている自治体があります。国の統計は、こうした脚注にこそ実態が出ます。逆に言えば、任意の健診である5歳児健診が18.8%というのは、責める話ではなく、医師や心理職を確保できるかという地域の体力の問題です。お住まいの自治体にない場合も、代わりの相談先は必ず用意されています。

補助は増額、それでも実施率が伸びない3つの課題

1か月児健診と5歳児健診への公費補助は、令和5年度の補正予算で創設されました。当初の補助基準額は、1か月児が4,000円、5歳児が3,000円でした。現在の令和7年度補正予算では、この単価が引き上げられています。

項目創設時(令和5年度補正)現在(令和7年度補正)
1か月児健診の補助基準額4,000円/人6,000円/人
5歳児健診の補助基準額3,000円/人5,000円/人
予算額15億円28億円
補助率国1/2・市町村1/2国1/2・市町村1/2
出典:こども家庭庁「『1か月児』及び『5歳児』健康診査支援事業」(令和5年度補正予算資料・令和7年度補正予算資料)

補助単価は1.5倍以上、予算額はほぼ倍になりました。それでも5歳児健診の実施率が18.8%にとどまっているのは、お金だけでは解決しない事情があるためです。

こども家庭庁が整理した課題は3点でした。1点目は、健診を担う医師が足りず、自治体内の5歳児全員を対象にした体制を組めないこと。2点目は、身体の発育を診る他の健診と違い、発達面の評価を主目的とする5歳児健診の進め方が分からないという声。3点目は、健診で「要フォロー」となったお子さんを、その後に支える福祉・教育・医療の受け皿づくりが難しいことです。

3点目が最も重い課題です。健診で発達の特性に気づいても、その先につなぐ相談先や療育の場がなければ、保護者の不安だけが残ります。国は健診医の養成研修や、都道府県による広域調整の補助事業を用意して、この受け皿づくりを後押ししています。

高野智弘
高野智弘
健診は「見つける」ところまでが半分で、残りの半分は「その後どうするか」です。8月19日から始まる検討会でも、フォローアップ体制が論点になるはずです。保護者の立場からは、健診の有無だけでなく、地域の児童発達支援センターや教育相談の窓口がどこにあるかを先に知っておくと、いざというときに動きやすくなります。

5歳児健診は何を診るのか、就学前の「気づき」の場

5歳児健診は、身長や体重をはかるだけの健診ではありません。こども家庭庁の「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業の実施要領では、5歳児健診の内容がこう定められています。

実施方法:原則として集団健診
健診内容:発達の状況(身体、精神、言語などの発達状況)などの評価と早期支援、育児上の問題となる事項、必要に応じ、専門相談等
引用:こども家庭庁「『1か月児』及び『5歳児』健康診査支援事業」

胸やお腹に聴診器をあてる診察は必須ではないとされています。医師や保健師がお子さんと会話をしたり、簡単な指示を出したりして、その反応や集団での様子を見る形が中心です。製作活動や集団遊びを通して、行動やコミュニケーションの状況を確かめる自治体もあります。

なぜ5歳という年齢なのか

3歳児健診の次に全国共通で行われるのは、小学校入学前の秋に実施される就学時健康診断です。つまり3歳から6歳までの約3年間、多くの市町村では公費の健診が空白になります。

言葉の遅れや落ち着きのなさ、集団行動のつまずきは、3歳の時点では個人差の範囲に見えることが少なくありません。それが5歳前後になると、集団生活の場面ではっきりしてくるのです。この時期に気づければ、就学までに支援につなげる時間が残ります。

こども家庭庁が成育医療等分科会に提出した資料には、5歳児健診の効果としてこう書かれています。

5歳児健診により学童期の不登校発生数が減少したという研究結果もある。
引用:こども家庭庁「乳幼児健診について」(第4回こども家庭審議会成育医療等分科会 資料2-2)

就学前の健診が、小学校に入ってからの学校生活にまでつながっているという指摘です。不登校は小学校低学年でも増え続けており、不登校の原因ランキングで見ると、きっかけを一つに特定できないケースが大半を占めます。5歳の時点で「この子はこういう場面が苦手」と分かっていれば、担任に伝える言葉を持って入学できるでしょう。

全員が対象とは限らない「抽出健診」

もう一つ、実施している自治体でも中身が分かれる点があります。5歳児全員を対象にする方式(悉皆健診)と、事前のアンケートや保育所での様子から気になるお子さんを絞って実施する方式(抽出健診)です。

こども家庭庁は、健診を担える医師の確保が難しい地域があることを踏まえ、対象年齢の幼児全員に実施する体制を今後2〜3年で構築することを前提に、当面は発達などに課題のある幼児を対象に実施しても差し支えないという扱いです。実施時期は、4歳6か月から5歳6か月の間に受けられるよう配慮を求めています。

お住まいの自治体が全員対象なのか抽出なのかで、案内が届くかどうかが変わります。案内が来ないからといって、健診がないとは限りません。

お住まいの市町村で受けられるか確認する3つの方法

実施率のデータは全国の姿を示すものです。大切なのは、ご自身の市区町村がどうなっているかです。確認の手順は3つあります。

1. 母子健康手帳と一緒に渡された健診の案内を見る

多くの自治体は、母子健康手帳の交付時に受けられる健診の一覧や受診券を渡しています。まずは手元の書類を確認してください。5歳児健診を実施している自治体なら、就学前の健診として記載があるはずです。

2. 市区町村の公式サイトで「乳幼児健診」を検索する

自治体サイトの子育て・健康の欄に、年齢別の健診日程が掲載されています。「5歳児健診」という名称ではなく、「就学前健診」「5歳児相談」「発達相談」といった名前で実施している自治体もあります。健診という言葉が見つからないときは、相談事業の欄も見てみてください。

3. 保健センターかこども家庭センターに直接聞く

最も確実なのはこの方法です。「5歳児健診はありますか」だけでなく、「ない場合、発達の相談はどこでできますか」まで一度に聞いておくと、二度手間になりません。抽出方式の自治体では、保育所や幼稚園の先生を通じて案内が届くこともあります。園の先生に相談するのも有効です。

5歳児健診が受けられない地域でも、就学前の準備そのものは家庭でできます。文字や数への興味、ひとりで座って取り組む時間の作り方など、入学前に整えておきたい土台は、こども教材プラスのような家庭学習の情報もあわせて参考にすると考えやすくなります。

就学後に学校生活のつまずきが出てきた場合の相談先や制度は、不登校の出席扱いが認められる要件で整理しました。子育て世帯への経済的な支援を確かめたい方は、子育て支援金の年収別の負担額もあわせてご覧ください。

よくある質問

5歳児健診はいつ受けるのですか
こども家庭庁は、4歳6か月から5歳6か月の間に健診が実施されるよう自治体に配慮を求めています。実際の時期は市区町村ごとに決まっており、年度内の特定の月にまとめて実施する自治体が多数派です。案内が届く時期は自治体の広報や公式サイトで確認できます。
5歳児健診の費用はいくらかかりますか
実施している自治体では公費で負担されるため、保護者の自己負担は原則ありません。国の補助基準額は1人あたり5,000円で、費用は国と市町村が半分ずつ負担します。1か月児健診の補助基準額は1人あたり6,000円です。自己負担の有無は自治体によって運用が異なるため、受診券の記載を確認してください。
住んでいる市町村に5歳児健診がない場合はどうすればよいですか
保健センターかこども家庭センターの発達相談を利用できます。5歳児健診という名称でなくても、5歳児相談や就学前相談として同様の内容を扱う自治体も少なくありません。保育所や幼稚園の先生から園での様子を聞き、気になる点をメモにして相談に持参すると話が進みやすくなります。

まとめ:8月19日の検討会は、就学までの健診の空白を埋める議論

こども家庭庁が2026年8月19日に開く「乳幼児の健康診査等のあり方に関する検討会」は、乳幼児健診の制度そのものを見直す議論の出発点です。5歳児健診を公費で実施している市区町村は328、全体の18.8%にとどまり、3歳から就学までの3年間が空白になっている地域が大半を占めます。

いま保護者にできるのは、お住まいの市区町村で受けられる健診と相談窓口を確かめておくことです。健診がなくても、発達の相談ができる場所は必ずあります。検討会の資料は当日以降にこども家庭庁のサイトへ掲載されますので、制度の方向が気になる方は目を通してみてください。

教育Timesでは、文部科学省やこども家庭庁の発表をもとに、保護者の生活に直結する教育ニュースを週3回お届けしています。ご意見やご相談は運営会社のお問い合わせ窓口までお寄せください。

就学後の健康診断についても、文部科学省の検討会が実施項目や時期の見直し案を示しています。詳しくは学校健康診断の見直しの記事をご覧ください。

高野智弘

この記事を書いた人:高野智弘
株式会社SUNCORE代表。教育メディア「教育Times」を運営し、文部科学省・こども家庭庁の公式発表をもとに、保護者向けの教育ニュース解説を発信している。
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